香る紅
余裕があったら、照れてる緋凰を、可愛いなって思えてたんだろうけど。

緋凰が言ってくれた言葉で心がいっぱいで、何も考えられなかった。

嬉しかった。

昔の約束を、永遠の約束にしてくれるって、言ってくれたことが。

「緋凰、ほんと・・・?」

「は?」

顔をあげた緋凰は、不思議そうな顔をしている・・・気がする。

何故か、緋凰の顔がゆがんで、うまく見えなかった。

見たいのに。

「ほんとに、永遠の約束にしてくれるの?ほんとに?緋凰の隣に、ずっといてもいいの?」

ふ、っと息を吐いた音が聞こえると、目のあたりを拭われた。

それでやっと、自分が泣いていることに気がついた。

あ、ちゃんと、緋凰の顔が見える。

「いい。永遠の約束にする。」

そのまま、頭を撫でてくれた。

それで、ずっと前から心の中を占領していた気持から解放されたような気がした。

涙があふれて、止まらない。

「ありが、とう・・・。だいすき・・・」

それだけ伝えると、緋凰もなんだか安心したような声で、

「永遠に隣にいろ。俺が行くところには必ずついてこい。俺と共にいろ。・・・愛してる」

「!!」



公園で、生きていく目的を見失って、無意識に死を選んで、意識を手放す前。

次起きた時、死んでいた時のことしか、ちゃんと考えていなかったけど。

でも、ほんの少しにかけて、まだ生きていたら、ちゃんと生きようって、思った。

パパママ、せっかくくれた命をなげだそうとして、ごめんなさい。

織葉は、ちゃんと精一杯生きます。

緋凰の、隣で。




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