香る紅
何百年と歴史を繋ぐ、御門一族。

その一家は、たぐいまれな才能を発揮する人間が多く、いつの時代も、政財界や芸能界等で活躍する。

そんな一族にある、大きな秘密。

それは、一族の子孫は、みな、人間の血液を食料としなければいけない、特異体質があるということ。

簡単に言うと、吸血鬼。

でも、吸血鬼、吸血する鬼だなんて、とんでもない。

御門一族の人たちは、立派な人間。

吸血しないと生きていけないこと、生まれつき弱い何かがあること(ちなみに緋凰はお日様に弱い)、一般人より、少し寿命が長いこと。

その3つの特異体質があるだけで、普通の人間となんら変わらない。

でも、鬼だと言われてしまう理由は、もう一つあって。

御門一族の人間は、必ず一人、御門一族の血をひかない、一般人を、パートナーとして、一生、添い遂げる。

パートナーは、書類で契約した後、一族側の人間の血液を一般人の血管に流し込むことで成立する。

契約の仕方が一般人にとっては異質だったし、昔はパートナーを隷属者として扱うことがよくあったから、鬼だなんて、言われてしまったけれど。

今は違う。

御門一族は、一般人との結婚に対してとても寛容だし、むしろ一族同士で結婚すると血が濃くなって、子供ができにくいから、一般人との結婚が奨励されていたりする。

そして、その一般人をとても大切にしてくれる。

そんな人たちが鬼なわけがないじゃない。

鬼だなんていう人、許さない。





< 5 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop