香る紅
Ⅱ
緋凰が部屋を出て行ったのとほぼ同時に、屋敷のお手伝いさんである秋野さんと美詠子さんがばたばたと慌ただしく入ってきた。
「やだ、こんなになるまでとられてしまったの?」
「もうこれ、補助剤飲まなきゃ!補助剤、補助剤!」
二人とも御門一族に代々使える家の人たちだから、御門一族の事情に長けていて、だから、今の私の状態も見ただけでよく理解してくれている。
「補助剤ですよ、飲んでください!」
秋野さんが抱え起こしてくれて、美詠子さんから渡された補助剤を飲んで、もう一回横になる。
ちなみにこの「補助剤」とは、御門一族の医薬品部門の人たちが、私みたいになった人のために開発してくれた、鉄分を補い、血液の生成を増進させる薬。
よく効くんだよね、これ。
ただ、よく効くのを実感できるほどこの薬を飲んでるって人、あまり聞いたことないけど。
「今日は、御休みしちゃった方がいいんじゃない?」
「そうね、緋凰様もそうおっしゃっていたことですし。」
二人はそう言って私の着替えを用意しだした。
たぶんネグリジェだろう。
・・・いや、私、学校行かなきゃ、だって、緋凰は行くんだもの。
朦朧とした頭の中で、それだけ考えて、無理やり起き上がった。
「・・・ネグリジェ、仕舞って下さい。私、学校行きます。制服、出して下さい。」
二人は、あまり驚きもせずに目を見合わせると、ふう、と息を吐いた。
「そう、言うんじゃないかなって、思いましたよ。」
「やっぱり?休まない?織葉ちゃん、結構深刻な具合っぽいのに?緋凰様も、今日ばかりは怒らないと思うよ?」
どこか独り言のように言ってから、手に持ったネグリジェをしまって、制服を出してくれた。
「・・・ありがとう、ございます」
それだけどうにか言うと、二人はこれもまた独り言のように「早くしないと、美詠子ちゃんメイクよろしくね」「はい、今日はチーク入れて、血色出さなきゃ」と、大急ぎで準備してくれた。
ほんとに、この二人には頭が上がらない。
*
「やだ、こんなになるまでとられてしまったの?」
「もうこれ、補助剤飲まなきゃ!補助剤、補助剤!」
二人とも御門一族に代々使える家の人たちだから、御門一族の事情に長けていて、だから、今の私の状態も見ただけでよく理解してくれている。
「補助剤ですよ、飲んでください!」
秋野さんが抱え起こしてくれて、美詠子さんから渡された補助剤を飲んで、もう一回横になる。
ちなみにこの「補助剤」とは、御門一族の医薬品部門の人たちが、私みたいになった人のために開発してくれた、鉄分を補い、血液の生成を増進させる薬。
よく効くんだよね、これ。
ただ、よく効くのを実感できるほどこの薬を飲んでるって人、あまり聞いたことないけど。
「今日は、御休みしちゃった方がいいんじゃない?」
「そうね、緋凰様もそうおっしゃっていたことですし。」
二人はそう言って私の着替えを用意しだした。
たぶんネグリジェだろう。
・・・いや、私、学校行かなきゃ、だって、緋凰は行くんだもの。
朦朧とした頭の中で、それだけ考えて、無理やり起き上がった。
「・・・ネグリジェ、仕舞って下さい。私、学校行きます。制服、出して下さい。」
二人は、あまり驚きもせずに目を見合わせると、ふう、と息を吐いた。
「そう、言うんじゃないかなって、思いましたよ。」
「やっぱり?休まない?織葉ちゃん、結構深刻な具合っぽいのに?緋凰様も、今日ばかりは怒らないと思うよ?」
どこか独り言のように言ってから、手に持ったネグリジェをしまって、制服を出してくれた。
「・・・ありがとう、ございます」
それだけどうにか言うと、二人はこれもまた独り言のように「早くしないと、美詠子ちゃんメイクよろしくね」「はい、今日はチーク入れて、血色出さなきゃ」と、大急ぎで準備してくれた。
ほんとに、この二人には頭が上がらない。
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