─泣き虫×強がり─



「梓」



男はあたしを呼んだ。



「な…んで
名前知ってるの…っ?」



「俺はなんでも知ってる」



「意味…わかんない…よっ」



「わかんなくていい。
何もわかんなくていいんだ」



「ふふっ…」



なぜか笑えた。



名前も知らないのに



昼に初めて会ったのに



あたしは笑えた。



だって



あたたかいんだ。



彼の腕の中は
あたたかくて
あたしだけを包んでくれる。











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