Halloween☆の集い

「俺たちは貴方たちに用はない、キャサリンを頂きに参った」

リタが耳打ち際で、その女は誰だと聞いてくる。そういえば、伝えるの忘れていたな。

後でゆっくり話すと言ったら、益々怒り出した。

はぁ……、女の扱いは難しいねぇ。

「何故娘の事を!? ……そうか、それで分かったぞ、貴様のような得体の知らない奴に渡してなるものか。おい、アレを持ってきておくれ」

男性に『アレ』と言われ、女性はロザリオとニンニクの束を籠いっぱいに運んできた。

お伽噺じゃあるまいし、そんなものは俺たちに通用しないってのに……。さて、気を取り直して。

「か、帰ってくれ、に……二度とこの敷地に来るでない! 今直ぐ立ち去れば封印しないでやる」

ったく、そんなガチガチ頭でよく言うよ。

突き出された物に屈する事なく、一歩一歩彼らの前に歩み寄る。

『帰ってくれ』と言われて、『はいそうですか』なんて言うわけないだろ? 俺にだってプライドがある。

俺はロザリオを手にしている女性の手を取り、

「悪いけど、少し眠っていてくれ」

彼女の首筋に、血を吸わないように唇を触れさせる。

何を勘違いしているのか、ウットリした表情で俺の腕に倒れてきた。

あらら、こんなにも簡単に倒れちゃうわけ?

「シェリーに何をした?」

「何も。この人は眠っているだけさ。リタ、後はよろしく~」

「任せて☆」

リタの魔法で、今眠っている彼女のロザリオに、新たな力が加わらないように、ちょっとした細工を施してもらった。

 まもなくハルフォード邸に子供たちもやって来るであろう。その前に、このガチガチ頭をなんとかしなければ。

「貴方のお嬢さんには感謝しています。通行の妨げとなっていた『道』を切り開いて頂いたのでしたから」

本当は一緒に解き放ったんだけどな。

「バカな事を抜かすな。娘一人で何が出来るというのだ」

「それでは、目の前にいる、俺らは何でしょう?」

自分の娘を信じないのではなく、目の前にいる俺たちの存在自体を、否定したいのだろう。けど、残念ながら事実なんだよね。

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