Halloween☆の集い
「き、貴様の望みはなんだ!? 金なら腐る程ある、い、命だけは──」
男は後退りをしながら、どうでもいいことだけを吐き捨てている。
俺も、ジリジリと、彼に歩み寄る。
「俺たちの望みは二つ。一つは先程も申したが、キャサリンを頂きに参った」
バコッ。
何故か後頭部を叩いてくるリタ。
「なんでそれが一番目なのよ! 私たちの一番の目的は──」
彼女の口を手で塞ぎ、続ける。
「そしてもう一つは──」
「今直ぐ子供たちの行列を辞めさせて!!」
彼女は俺の腕から逃れ、叫びだした。
「それは出来かねるよ。彼らにとって、クリスマスの次くらいの楽しみを、取り上げられないからね」
「祭り事を辞めてくれと言っているわけではない。ただ、この世を去っていった、この街から追放された仲間たちを想い入れて欲しいのだ」
「無理ではないかな? 子供たちは、貴様らが本当に存在するものと思ってないだろうしね」
「それを教えるのが貴方の仕事だろ?」
俺たちのような格好に扮しているのに、これっぽっちも想われないなんて、悲しすぎる。
ならば、最終手段を取るまでの事。
タイミングよく、仮装した子供たちがやって来た。
「市長様、表に出ていては、ボクたち脅かせないではありませんか」
「丁度いいところに来たな、ニセモノたちよ」
「お兄さんとお姉さんも、市長様の『アップルパイ』が目当て?」
無邪気な彼らは、イベントの仲間だと思っているのか、親しげに歩み寄ってくる。
さっきまでの剣幕が何処に行ったのか、リタの目は星マーク(☆)に変わっている。
そういえばコイツ、アップルパイに目が無かったっんだっけ? ったく。自分が言い出したのに。
「ダメダメ。どんなに狙っていたって、大人は参加しちゃダメなんだよ」
「うるさい、ウルサイ、煩い!! アップルパイと聞いて黙っていられますか」
リタ、怒りの方向が違くない?
「あなたたちも魔女のはしくれなら勝負よ!?」
否、だから人間だから。お前何年生きているんだよ、そのくらいの見境つかなくてどうする?