Halloween☆の集い
末裔
さて、此処は故郷ロンドン。
いつも暇な店。1ヶ月くらい閉めたところで、何の影響もないからな。
最近ではハロウィンというと、子供たちは俺たちの様な格好をし、籠いっぱいにお菓子をもらうだけらしい。
我らが始めた聖なる儀式を、何だと思っているんだ!?
「でしょ? だからさ、少しだけ驚かそうと思ってね」
「なるほど。で、何で俺が必要なわけ?」
「アタシまだ見習いだから、魔法使えないんだもの」
「俺だって魔力はないぞ? お前らの種族とは違うんだ」
ヴァンパイアが魔力を持ったら恐ろしすぎるだろうに。
「いいの♪ウィルズリはいるだけで迫力満点なんだもの」
それって、喜んでいいのだろうか?
この100年間、誰一人の生き血を頂いてはいない。
あの街でずっと暮らしてきて思うんだ。
それぞれ皆懸命に生きている。
そんな奴らから生き血をわけてもらうのは、ルール違反な気がしてな。
別にそれだけが、食事ってわけじゃない。白米に味噌汁だって好物の一つだ。きっとこれは、父の影響だな。
最近思うんだ。
俺が末裔ってのは何かの間違いではないのか、とね。
それなのに、いるだけで迫力があるって言われても有り難みがないって事。わかる?
だが、180年も生きている奴が他にいないから、やはりそうである確証になってしまう。
「他に頼める人がいないのよ。ウルフは家族マッタリだし、姉さんは興味ないって、人間の男と結婚しちゃったわ。魔女界のプリンセスだったのにさ」
「アリスさんは正しい選択をしたと思うよ?」
俺も正直、興味ないんだけど。
「何でもするんでしょ? お・ね・が・い☆」
この小悪魔娘。コイツ、魔女の試験止めて悪魔の試験なら、直ぐに受かるんじゃないか!?