Halloween☆の集い

「やれやれ。俺はいるだけだからな」

「ありがとう」

しかし、どうするか。
長い間マッタリしすぎたな。
今の俺を見て怖がる奴はいないだろう。

リタがこんななも一生懸命になのは、訳があるんだ。

今此処は、ゴーストタウンなんて名前が付けられているが、そもそもは俺たちだけの神聖なる世界だった。

そりゃ平和だっただろう。人間という生き物に怯える事なく、愛に満ちた世界だったと語り継がれている。

子供の頃、爺さんたちが幸せそうに話をしてくれたのを、今でも覚えている。

右を見ても左を見ても、ヴァンパイアに魔女、狼男、フランケン……だらけだったってね。

ところが、欲深い人間の奴らが少しずつ増えて来たんだ。
俺たちだって別に驚ろかすのが趣味っていうんじゃない。

ただ、奴らに比べたら、特殊な能力を持ち合わせている。

ただそれだけなのに……俺たちの先祖たちは、次々に街を追放されていったんだ。だから、今仲間たちは世界の彼方此方に散らばってヒッソリと暮らしているって訳。

そんな彼らを忘れないために年に、一度の祭りを立ち上げたんだ。

それが『ハロウィン』

祭りの様子を人間に見られちまってな。もう全滅だと感じたらしいんだ。

そこで本当に襲ったりしたら俺たちは、もうこの地にいられなくなると悟った奴が口走ったんだ。

『Trick or treat』

そしたら人間の奴、『このパイやるから、命だけは!』なんて言って逃げていったんだと。

逃げた奴は、今後はさも自分たちが作り上げた祭りのようにしてしまい、今に至るってところだね。

この町に残留している種族も少なくなっちまったから、今や人間の好き勝手になっている。

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