Halloween☆の集い
何を考えているのか、キャサリンは腕組をし始めた。
「責任を取るわ」
「責任?」
「私のせいで、街が無くなってしまうのは悲しい。だけら、私の身を捧げて事が済むのなら、私の命と引き換えに、街には手を出さないようにお願いでもしようかしら」
彼女は、真横で話している俺が正にそれだとは、気づいていないのだろう。
「優しいんだね」
気がついたら、サンロードとゴーストタウンの丁度境い目のセンター・ムーンに着いていた。
月夜に照らされた、秋桜畑が、俺をこの先には進ませないようにしている。
「キャサリン、申し訳ないが、俺は此処までしか送れない。後は、あの凱門を通り抜けるだけだ」
「ありがとう、ウィルズリ」
「礼には及ばないよ。時が来たら、ソナタを頂に参る」
「それってプロポーズ?」
「そう解釈されても構わないよ?」
今までに感じた事のない想いが、沸々と胸にこみ上げてくる。
ブルーの瞳を見つめ、俺は彼女の首筋に小さく甘噛みキスをする。正体を明かすつもりなんてなかったし、彼女を襲うなんて思っても見なかった。
ただ、気がついたら彼女の首筋から、僅かな血を分けてもらっていた。これも、満月のせいなのだろうか?
「すまない」
彼女は、困惑したように俺を見つめている。
「あ、あの……貴方は」
「俺は、通りすがりのヴァンパイアさ。怖いかい?」
こんな事をしてしまったら、弁解も何もないから俺は正直に告知した。
「いいえ」
彼女は凛とした姿勢で、それでいて、少し悲しげな瞳を俺に向けた。
嗚呼、こんな形で、キミと出会うなんてな。