千日紅が咲いている
【1】彼氏≠好き
差し出された白色のはちまきが揺れていた。
風で?
違った。
その差し出された手が震えていたからだ。
精悍なまなざしが、少し不安げに揺れていた。
そのとき私は、何を選択すればよかったんだろう。
“彼”はもうここにいないじゃない。
私をここに連れてきたのは“彼”だ。
差し出されても、私は差し出すことすらできずに終わってしまった。
ここで受け取らずにいたら、“彼”との接点は終わってしまうんじゃないかって。
よぎった思いは私を動かした。
最悪な選択をしたんだ。
わかってる。
嬉しそうに笑う彼に私は笑えなかった。
ごめんなさい。
謝った。
聞き取れなかったみたいで聞き返してきた彼に、私は首を振った。
胸が苦しいくらいに締め付けられたのは、せつないからじゃない。
罪悪感が私の心を止めようとしたからだ。
これから先ずっと、心に罪悪感が巣食ってしまうんだ。
ここにいない“彼”の名前を出した彼は笑顔で。
ポケットに入れたままの桃色のはちまきを、ズボン越しにつかんだ。
風で?
違った。
その差し出された手が震えていたからだ。
精悍なまなざしが、少し不安げに揺れていた。
そのとき私は、何を選択すればよかったんだろう。
“彼”はもうここにいないじゃない。
私をここに連れてきたのは“彼”だ。
差し出されても、私は差し出すことすらできずに終わってしまった。
ここで受け取らずにいたら、“彼”との接点は終わってしまうんじゃないかって。
よぎった思いは私を動かした。
最悪な選択をしたんだ。
わかってる。
嬉しそうに笑う彼に私は笑えなかった。
ごめんなさい。
謝った。
聞き取れなかったみたいで聞き返してきた彼に、私は首を振った。
胸が苦しいくらいに締め付けられたのは、せつないからじゃない。
罪悪感が私の心を止めようとしたからだ。
これから先ずっと、心に罪悪感が巣食ってしまうんだ。
ここにいない“彼”の名前を出した彼は笑顔で。
ポケットに入れたままの桃色のはちまきを、ズボン越しにつかんだ。