千日紅が咲いている
　2人とも好感のもてる人だった。

　私はどちらにも心が揺れていて、恋の一歩手前をふらふらしていた。

　でも、その揺れはもうなくなっていた。

　原因はヤスの一言だった。

　体育祭本番、何かと走り回っていた私は、無理をしていた。

　でも、気を使わせちゃいけないといつもと変わらずに振舞っていたはずだった。

　なのに、すれ違ったヤスが、私を引き止めて言った。


『無理してんじゃねぇの』の一言が私をひっぱった。

　誰も気づかなかった私のごまかしを、ヤスはあっさりと見抜いた。

　体育祭の熱気の中、私は恋に引っ張られた。

　ヤスに落っこちた瞬間だった。
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