千日紅が咲いている
 沙織の言っていたことだから、私に当てはまらないのかもしれない。

 私が今まで考えてこようとしなかった結論に、達しようとしていた。

 私はこの4年間、大輔への気持ちは全く変わらなかったんだろうかって。

 ずっとヤスのことを見ていた。

 大輔の隣にいるのに、心はヤスの隣だった。

 だから考えてもいなかった。

 心の視線が誰に向いてるのかって。


「恵?」

「あ、うん。赤がいいと思うけど」

「そうか、ならこっちにしよう。意外と持ってないんだよな、赤色って」


 そう言って、レジに行く大輔を見送る。

 気付かないことだってある。

 『気付かないうちに好きになってるってこともあるかも』

 私は、どうなんだろうか。

 私は――。


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