「彼」

‐夕闇

二度目の、先生の車。


「少しだけ、遅くなったりしても平気?」



そう聞かれ。



私は、先生の携帯を借りて家に電話をした。




「少し、友達の家に寄るから」



帰りは迎えに行くという母に、



じゃあ、駅まで来て。

また連絡するから。



そう伝えた。





先生は、車で30分くらいの川原に車を停めた。



外に出て、タバコを吸う。


私はどうしたらいいのかわからなかったから。


そのまま、中にいた。




助手席のドアが開いて、





「おいで?」



呼ばれて。



私は、先生と並んで座った。




冷たいくらいの空気の中で、





先生側の肩だけが、温かかった。
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