「彼」

‐好き


「・・・俺が怖い?」


先生は指で私の髪を遊びながら、聞いた。



「怖いよ」


私が言っても、


ずっと続けてた。



「おまえ、人を好きになったことある?」



それまで、何人かと付き合ったはずなのに。


出た言葉は、



「・・・ない」



なんだか、苦しくて。

切なくて。



逃げ出したい。



でも、先生の声は心地よくて。



もっと、触れていてほしくて。
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