「彼」


再び、車は、

駅に向かって走り出す。



車の中では、


『TimeAfterTime』




こんな状況でこれ?



「好きだからいーの」



笑いながら先生は言った。

ずっと、

CDと一緒に口ずさむ、

先生の声。


耳に心地よくて。





駅について、また電話した。

親はまだ家にいたから、


あと10分くらい。




「じゃあ、帰るわ」


そう言いながら。


一枚の紙きれを渡された。

「家についたら見て」



そう言って。
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