「彼」
先生が帰って行って。
しばらくして親が来た。
車に乗り込み、
家に向かう時。
近くの駐車場に、
先生の車がみえた。
私が車に乗るまで、待っててくれたの?
さっきまで、
あの中にいて。
知らなかった先生を知って。
でも、
普通の二人がするような、
「また電話するね」
「今度いつ会える?」
そんな約束もなくて。
ただ、先生は、
暇つぶしだったのかな、とか。
ただのチョッカイだったのかな、とか。
それでも、耳には、
先生の温もりと、声が。
残ってて。