「彼」
先生は、私とどうしたいの?



あまりにストレートに聞いてしまって。



少し、後悔した。





もしも、

後悔していて、



それを告げられたら。「雪」って呼ばれて、


舞い上がる自分と、




猜疑心の固まりの自分。





「おれの女になってくれる?」




一瞬、


頭が真っ白になる。



何も答えられない私に、<





「いや、女ってゆーか、彼女ってゆーか。」




先生は慌ててて。



「だめかな?」




黙ったままの私。



何も言葉が出てこなかった。




「雪?聞いてるか?」



・・・うん。




「やっぱり、怖い?」



うん。




「おれだって、怖いよ?」

なんで?




「雪のこと、もし傷つけたらどうしようって。おれは、教師だから。それに、雪の嫌いな男だし」




嫌いじゃないよ?




「でも、男を信じられんやろ?一線ひいてるやろ?」



わかるんだね。



「おれは、雪を守りたいんや。」猜疑心が、




消えていくのがわかる。




この言葉を言われて、






こんな気持ちになったのは初めてで。
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