「彼」
「ちょっと話題かえよか」

先生が言って。


少し、ホッとした。




あまりに、苦しくて、



どうにかなりそうだった。



でも、違う話が見つからなくて。


時間だけが過ぎた。




「あかんなー」



そう言って先生は笑った。



「雪の返事聞くまで、気が気じゃないわ」




電話の向こうで、

タバコに火をつける音がして。


先生が大きく吸い込んで。



「なんかおれ、格好悪いな」


って笑った。




「32にもなってなぁ。」



そうか。

32歳。




私とは随分歳が離れてる。


そんなことをぼんやり考えた。






その時、急に電話が切れた。
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