「彼」

‐夜


私は、部屋着のままで。


そっと、

音をたてないように玄関をあける。


時計は、もうすぐ1時。


そっと、ドアを閉めて。



私は走り出した。



慌ててはいたサンダルは、

脱げそうになって。



髪も洗ったままで。


それでも、必死だった。


本当は、



「来てるから」



その言葉だけだから。



どこかなんて、わからないのに。



私は、



あの公園まで走ろう。




そう思った。
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