「彼」
柴田先生の車はMRで、助手席に座る。


「生徒に見られるとひいきだって言われちゃうなぁ」
って、他の子が通らない道を選んで車を走らせる。


車の中で、私は何を話したらいいのかわからなかったから、ずっと黙ってた。


先生は、ラジオに合わせて鼻歌なんか歌って。



もうすぐ家のそば、降ろしてもらうつもりの公園に着く。

だけど、その前に。

先生は車を停めた。


不思議に思って、横を見る。

先生は、黙ったままで、タバコを持ってゆっくり車を降りた。
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