「彼」
先生の腕の中で、

ようやく落ち着いて。


それでも、


先生はそのままだった。




先生の胸に頬をくっつけて。


最初の夜にかいだにおい。



たばこのにおい。


もっと、近づきたくて。




いつもはワイシャツだけど、

今日はTシャツの胸に、


頬を押し付ける。




思いがけず、


先生の鼓動が伝わって。



その早さに、


私はまた、胸を打たれた。
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