「彼」
誰もいなくて、
静かな真夜中の公園。
私達は並んでベンチに座った。
いろんな話をしてる間も、
ずっと、手を握って。
「雪は雪やろ?」
ふいにそんなことを言われて。
不思議な顔をすると。
「おれの名前知ってるか?」
知ってるよ?
リョウでしょ?
「じゃあ、二人の時は先生禁止な」
そう言って笑う先生は、
すごくかわいくて。
「りょうちゃん?」
呼んだら、
「ちゃん付けかよー!」
ってふざけて。
でも、その日から、
私とりょうちゃんは始まったんだ。