「彼」
最初にここに来たのは、


まだ夜風が心地いい季節だった。



でも、もう。

寒い季節。



りょうちゃんとここで初めていろんな話をした時から、


もう、

1シーズン、過ぎたんだ。




「寒いな」



そう言うりょうちゃん。



私は、手をつなごうとした。


その時、

りょうちゃんは、



慌ててタバコに火をつけた。


行き場を失った私の右手。



少し離れたところで、背中を丸めてタバコを吸うりょうちゃんを見てて。


なんだか、淋しくて。


気付いたら、



私は怒鳴ってた。
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