「彼」

‐ひとつ


車を停めて、

りょうちゃんは言った。



「雪?だめ?」


私は何て答えたらいいのかわからなくて。



今にも泣き出しそうだった。



「ちょっと待ってて」



そういって、

りょうちゃんは車を降りて。

フロントまで歩いて行く。

しばらくすると、



「だめだー。満室!」


笑いながら言った。


私は、

ホッとしたのと、

少しだけ、

残念なのと・・・。




りょうちゃんは、



「よかったなぁ、って思ってる?」



そんなことを聞いてきて。


つい、


別に?

って、



意地張って答えた。
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