猫は太陽が好きなんだ
「…!!」

俺は太一の元へ歩み寄る。
男子生徒数人はニヤニヤと笑みを浮かべながら戻っていった。


太一はターゲットなのか。
ホント俺みたいなだな。


「ってぇ……。」


数分後。
しばらく倒れていた太一が起き上がる。

「太一、大丈夫か?」

「あぁ、慣れてる。」

「太一さ、反撃しないの?」

夏樹は言葉だけでも反撃していた。
“昔の俺”と称した太一は言葉でも行動でも反撃をしようとはしなかった。


「反撃なんてしないよ。」

「そっか。」

「なぁ、太一。」

「何。」

「…ある男の話してやるよ。」

夏樹は少しためらったが自分の様になって欲しくないという思いで口を動かした。

「ある1人の少年が……


見た目は大人しい少年。

少年が通う中学校には有名な問題児数名が居た。
そのグループからターゲットにされたのが、その少年。

苛めていった。

日に日に苛めはエスカレート。

少年は言葉だけでもと反撃をしていったんだ……。」


太一は、つまんなさそうに、でも真剣に聞いていた。


「そんな日々が続いていた。

そんな中、その少年にも希望が見えたんだよ。」


「希望…?」

「あぁ、その少年にとって太陽が現れたの。」
< 39 / 50 >

この作品をシェア

pagetop