猫は太陽が好きなんだ

揺らぐ想い

『夏樹君、空好き?』

理子と来ていた学校の近くにある公園。

『私、夕方のオレンジ色の空好きなんだぁ。』

この公園に来たら理子の言葉が頭の中で響く。
公園の中心にある大きな木を背もたれにして2人で話していた。

猫になって2日目も、もうじき終る。
たった2日なのに凄く長く感じて、たった2日で命の重さを知った。

「夜…戻れるんだっけ。」

遠くを見つめながら呟く。

「期限は1週間」

突然後ろから聞き覚えのある声。
振り返ると予想通りで天使が居た。

「1週間…?」

「そ、お前がここに居られる時間。」

「死に戻るって事…?」

「あぁ、言うの忘れてた。一回戻って、もう一度お前の気持ちを聞くんだ。」

「確か、こっちの時間じゃ今日は火曜日だろ?だから来週の月曜まで、ここに居られるから。」

そう言って天使は消えていく。
いつも自分の言いたい事だけ言って消えていく。
そんな天使が夏樹は嫌いだった。

「後…1週間。」

夏樹は理子の好きなオレンジ色の空を見つめた。

「あ、夏樹君!」

公園の入り口に居るのは理子。
いつも笑っている。
夕日で顔が少し赤い気がする。

「理子……。」

理子…もう…嫌だ。

もう死にたくない…。


生きてたい…。
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