猫は太陽が好きなんだ

最終章

「話…よくわかんないけど…猫の夏樹君とも今の夏樹君とも別れたくない…。」

「理子…。」

夏樹はわからなくなっていた。
自分は戻りたい。
でも理子が泣いている。

「理子…聞いて。」

夏樹はそっと理子を抱きしめた。
自分の熱が一気にあがる。
でも、そんなの気にしないで強く抱きしめた。

「理子…約束。もう1度会いに来るから…また会いに来る。だから俺を行かせてくれないか?…俺は猫の夏樹。これが本当の夏樹なんだよ。」

「夏樹君…?」

「うん。俺、元の姿に戻りたい。それには理子の了承がいるんだ。」

「……。」

理子はしばらく夏樹の胸で泣いていた。
不思議な猫との出会い。
その猫が今本当の姿で自分の前に現れている。

本当なら、協力してあげたい。
でも、協力したら2度と会えない様な気がしていた。

理子は力強く目を瞑る。
そして

「約束…。また会いに来てね。」

と呟いた。


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