猫は太陽が好きなんだ
「・・・は。」

つい声が出てしまう。
目の前に切られたりも煮たりも、何もされていない魚が1匹寝ていた。

とりあえず声のする方に顔をむける。
そこには優しそうな顔をしている女の子が立っていた。

「理子・・・・・・?」

自然と声が漏れていた。
そんな夏樹を見て女の子は驚いていた。

「何で話せるの・・・?」

とても不思議だった。
人間なんだから話せるに決まってる。

それに言った事は間違っては無い。
俺の太陽の神沢理子。

理子は目をまん丸にして呟いた。





「猫が喋ってる・・・・・・。」





「え?」


理子の言葉の意味が分からなかった。
猫?俺は人間だ。

魚を見てみる。
そして顔を上げて理子を見る。

ここで俺は気づく。
理子を見るのにわざわざ見上げなくてはならない。
つまり理子より自分の方が小さい事に気づく。

段々と自分の身体の異変に気づきだす。
辺りを見渡すと近くにゴミ捨て場があった。

そこに捨ててあった大きな鏡。
その鏡めがけて走り出す。

「嘘だろ・・・・・・。」


鏡に映ったもの。

頭から上に向かって生えている三角の耳。

全身の黒い毛。

口元にチラッと見える牙。

そして手足の裏にあるピンクの肉九。



笹川夏樹。
猫になって第2の人生スタートです。
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