猫は太陽が好きなんだ

周りの変化

少し勇気がいる事を聞く決心が自分の中でついた。
夏樹は理子におそるおそる聞いてみる。

「なぁ、理子。お前のクラスに夏樹って居なかったか?」

夏樹が自殺した事は知って居るはずだ。
自殺した自分の事を理子はどう思って居るのか確かめたかった。


でも聞くのが怖かった。
死んでしまった俺をどう思って居るのか。

死に逃げた俺は弱虫と思われて居るのか。
それとも、みんなを悲しませて居るのか。

理子の返事を静かに待つ。
すると、

「夏樹・・・?そんな子居ないよ?」

と返事が返ってくる。

予想もしない返答。
夏樹なんてこの世に存在して居ないとでも言う様に理子は言った。

「そ、そっか・・・。」

言葉が詰まる。
悲しいとも思えない。
ただ呆然としていた。

夏樹自身にはある理子との思い出。
だが、その思い出は理子には無かった。

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