素直にカエル ~先生の隣で~
『ガチャリッ』
準備室の鍵を閉め、薄暗くなった廊下を2人で歩いていく…
外では、サッカー部がまだ練習している…
前を歩く先生も、確かサッカー部の副顧問…
「…先生?」
「おー?なんだ?」
私は先生の隣に行く…
「先生は、昔サッカーやってたんですか?確か…副顧問ですよね?」
「ああ…まあね」
「ですよね…副顧問なのにできなかったら恥ずかしいし…」
チラッと先生を見上げる…
「だよなー、でも中学・高校ってやってたから少しはできると思う…」
「そーなんだ」
上手かったのかな?
その頃からモテてたりして……
「じゃあ、吉岡は?中学ん時は何部?」
「中学は…吹奏楽部です」
「へー…何やってた?」
「………フルート」
「おー、上手かったんだろうなぁ?」
「先生のサッカーよりはね…」
「言うなーお前!高校はやんねーのか」
………やらない
これからは………
…………ずっと
「もう…いっかなって…」
「ふーん…そっか」
先生はそれ以上聞かなかった…
私にとっては、ありがたかった…
このまま聞かれたら…
あの頃を思い出して
泣いちゃいそうだったから…