時計仕掛けの宝石箱
「ね、エディ」

「何?」

「何で今回は資料がこれだけなの?」

ヒラヒラと封筒を見せて、エディリーンを見つめる。

刹那、エディリーン驚いた表情を見せたようだった。

だがトーマがはっきり見たのは‥妖艶に、満足そうに微笑むエディリーンの姿だった。

「‥流石ね」

「こー見えても、最高位の幹部ですから」

おどけるトーマだったが、内心では顔を真っ赤にしていた。

美少女と呼ばれる部類の彼女の妖しい笑顔は、余りにも色っぽかった。

(‥ちくしょう、何で俺が見惚れなきゃいけないんだよ!!)

エディリーンは知ってか知らずか、トーマに顔を近付けて囁いた。

「確かに少ないわ。‥でもこれ以上は受け取っていないの。
詳しい資料は、本部に戻ってかららしいのよ」
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