時計仕掛けの宝石箱
「う、あ‥そっか。分かったよ」

動揺しまくるトーマに、エディリーンは怪訝そうに目を細めた。

「どうかしたの?」

「いや、何でもない。
‥それよりさ、残りの二人はどうかしたの?」

「連絡はしたわ。でもそこで返事はもらえないから分からない。

だからこれから会いに行くの」

返事が電話で言えないというのは、説明が足りないからだ。

‥いや、実際は説明が足りないのではなく、あえて話さないのだ。

盗聴の可能性も考慮にいれたのだろうと、トーマにも察しはついた。

しかし、とトーマは声を上げて笑った。

「連絡さえすりゃ、出掛ける用意して待ってるだろうよ」

「でしょうね。でもこれも義務だから、行かないと」
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