時計仕掛けの宝石箱
トーマは力を抜いて、ストンと腰を降ろした。

「‥‥なぁ」

「何?」

「ルナの所には、俺が行っても良い?」

「‥別にいいけど。でもどうして?」

訝しげにトーマを見やるエディリーンに、トーマは目を背け、息を一つ吐いた。

「理由なんてないよ。その方が早いかなって思っただけ」

「‥そうね。じゃあお願いするわ」

「了解」

敬礼の真似をするトーマは、晴れやかな顔をしていた。

エディリーンは笑みを浮かべて、張り詰めていた気を解いた。

「じゃあ、三日後に本部で」

「おぅ!!ラディオルにも、よろしくいっておいて」

「えぇ」

トーマは立ち上がり、エディリーンに背を向け、歩き出す。

エディリーンも身を翻し、街の雑踏に消えた。





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