時計仕掛けの宝石箱
「‥‥」

淡々と語られては何も言い返せないらしい。

トーマはしれっとして、窓の外を見つめている。

「‥エディ」

「何?」

間をおいて、ラディオルはエディリーンに顔を向ける。

頭をくしゃくしゃと掻きながら、ボソっと一言呟いた。

ルシャアナとトーマには聞こえなかったが、エディリーンには届いたようだ。

あっさり「もういいわ」と返答し、トーマに視線を移す。

聞こえずとも、ラディオルの謝罪で全て解決したのを察する事は出来た。

「分かってるよ。この状態がバレる前に、御暇したいんだろ?」

白い歯を見せて笑うトーマ。つられてエディリーンも無表情を崩して微笑んだ。

「えぇ。人間の騒動に巻き込まれるのは御免よ」
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