時計仕掛けの宝石箱
「で、俺の出番って訳だ」

ぐぐ、と伸びをしてから、屈伸をするトーマ。
伸脚したり、どうやら準備体操をしているようだ。

エディリーン達はそれに大して何も指摘せず、窓際に身を寄せる。

三人が窓の桟に手をかけたのを見届けて、トーマは朽ちかけている獣鬼に相対した。

ゆっくりと瞼を閉じて、深呼吸を一つ。



「‥‥恨むなら、アンタをそんな風に追いやった奴等にしろよ」



トーマ自身にしか聞こえないように呟いたソレは、祈りの言葉だった。

眼を開いて、交差させた両手を高く掲げる。

それと同時に、トーマの両手首が銀色に輝き出した。
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