時計仕掛けの宝石箱
「今よりも、もっと強くなりたいし。俺だって、努力してるんだぜ」

チロっ、と舌を出しているトーマを横目で流し、ラディオルはブラインドの隙間から外の様子を伺う。

「長居し過ぎたな」

「そうね。‥さぁ、事が大きくなる前に、退却しましょう」

「放置しないでよ」

話を逸らされてふてくされたトーマの頭に、ルシャアナの手が乗った。

「トーマ、連続して使わせてしまいますが‥いいですか?」

身長差のあるルシャアナに上から見据えられて、トーマは少し苦々しげな表情を浮かべた。
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