時計仕掛けの宝石箱
「‥‥‥座標‥KDP―5936147‥

‥ZHL―2840953‥‥よし、繋がった!」

トーマは嬉しそうな言葉に、ラディオルはハハ、と声を上げた。

「早くなったな、繋げるの。‥空間同士を結び付けるのって、大変なんだろ?」

「移植手術の拒否反応みたいなものかな?

俺達みたいな中和剤が入る事で、安定するんだよ」

実際は言う程簡易ではないのだが、そんな事を感じさせない軽々とした答えは、まさにトーマが幹部たる所以である。





「‥行きましょうか」

「あぁ」

四人は滑るように進み‥。

光に溶けて、消えた。

彼等の消え去った後には、ただ、原因不明としか言いようのない程破壊されたスイート・ルームと、控え目に置かれた小切手だけが、夜風に晒されていた。



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