時計仕掛けの宝石箱
目の前で、異常を来した光景が、彼女の瞳を澱みなく捕らえていたからだ。

彼女の視線を絡み取っているのは、部屋の中央の中空。

そこには、罅があった。

そう。硝子に罅が入った時のようなモノが、現れたのだ。

さらにその亀裂は、徐々に黒い室内を浸食して、人が通れるだけのアナを公然と生み出した。



そして‥



その中から、人が現れた。

似通った黒い装束を身に纏った人間が一人、また一人‥。

そうして四人の人間が、彼女の前に立ち連なった。

それぞれ身長も年齢も人種も違う四人は、何の会話もせずに寄り添い合う。

彼等の中でも最年少と思われる少年が、彼女に気付き、歩み寄ってきた。
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