時計仕掛けの宝石箱
「え?」

彼の言葉に即答した美しい女性は、彼とは対照的に冷酷な視線をサーシャに注ぐ。

サーシャはその刃を受け、不覚にも涙を流してしまった。

しかし美女はそんなサーシャの事など気にも止めていないようだった。

「恐らく私達の<旋律>、<Fate of Melodious>に照てられたのでしょう。普段、これだけ高密度の力には晒されませんからね」

「‥つまり、私達が去れば、彼女は大丈夫ということよ、トーマ」

美女の言葉を要約したのは、彼と変わらない年頃と思われる黒髪の少女だった。

少女はサングラスをかけていて、その奥の表情は垣間見えない。
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