時計仕掛けの宝石箱
「サーシャ、もう大丈夫?」

「はい。‥あの、ありがとうございます」

「いや、礼を言われる事じゃない。俺達が悪かったんだから」

それまで一言も発しなかった青年が、苦笑交じりに言った。

「‥エディ、そろそろ行かなくては‥。

あの方がお待ちになっているはずです」

「‥そうね、行きましょうか」

少女は背を向け、木製のドアに足を運び始めた。それに触発され、少年、美女が続く。

ドアを控え目に開き、三人の姿が扉の外の闇に紛れて消えた。

だが、彼等の同志である青年だけは、まだ佇んでいた。

「‥悪かったね」

「え‥?」

突如投げ掛けられた謝罪に、サーシャは彼を見上げた。

サーシャの方を敢えて見ず、青年はクシャクシャと頭を掻く。
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