時計仕掛けの宝石箱
少女のパーティドレスに刺繍された花も、床の液体と同じだった。





付着していたのは、姿形を留めていない、死者達が生きていた時の、精一杯のメッセージだった。





真夜中の狂乱の舞踏会場を眺め、主催者の少女は微笑んだ。

「あっち側では、良い夢が見られるといいわね」

そして踵を返し、足早に去って行った。



少女が消え去って、数分後。

この部屋のある屋敷の外には、幾つかのサイレンが鳴響き、夜空に消えていった。



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