時計仕掛けの宝石箱
閑静を瓦解したのは、吐息程度の弱い声。それを発したのはエディリーンだった。

「エディ?」

ハロルドは戸惑う様子のエディリーンに声を掛けた。

「‥まさか‥‥いや、でも‥」

「エディ?どうしたの?‥何か、心当たりでもあったの?」

「‥心当たり、というよりは‥可能性‥なのですが‥」

エディリーンにしては珍しく曖昧な物言い。

それだけ信憑性が薄いのだろうと、ラディオルは思う。

(‥恐らく、余程可能性が低いんだろうな。エディがあれだけ狼狽するなんて‥本当珍しい。

大体、エディは確かな話じゃなきゃ言わない性分だ)

「エディ、どんな事でも構わない。

今君が思った事を、素直に言ってくれないかな?」

「‥‥ハロルド様が、そうおっしゃるのなら‥」

エディリーンは渋々と頷いた。
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