時計仕掛けの宝石箱
「簡潔に説明します。よく聞いて下さい」

「うん」

「まず嫌な事を聞くようですが、トーマも一度くらいは人間から迫害された経験があるでしょう?」

「そりゃあね。何回もあるさ」

「その時、心身が深く傷付いたでしょう」

ルシャアナのあからさまな言い方に、トーマは眉を顰める。

「‥‥まぁ‥な」

「心身を深く傷付けられた場合や、生命の危機が訪れた場合、私達は迎撃する事が出来ますね」

「‥‥あぁ」

だから何、とトーマは仏頂面になる。

それくらいは分かる、という意味も兼ね備えた表情だったが、ルシャアナの真剣な眼差しを見て、再度固まった。

生唾を飲み込んだトーマに、ルシャアナは畳み掛けた。
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