時計仕掛けの宝石箱
「では、もしこの攻撃対象が個体の人間でなく‥
‥人類全てに変わってしまっていたとしたら‥どうなりますか?」

「‥っ!」

「‥エディリーンが言っていた事は大体こんな感じです。

‥憶測ですがね。
本来は、迫害した個体にしか攻撃は出来ないはずですから。

‥本当に可能かは知りませんが、迫害された状況が酷かったなら、
いくら<扉>が万物を護れと言っても、人間の庇護は言語道断でしょう」

ルシャアナの説明で状況を理解したトーマは、額にうっすらと汗を浮かべている。

冷静に話していたように見えたルシャアナでさえも、僅かに青褪めていた。

ハロルドは椅子に深く座り直し、じっと自分の手の甲を見つめる。
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