時計仕掛けの宝石箱
「でも今回はかなり危険が伴う任務だから、君達に<三風神>のバックアップをして欲しいんだ。

彼等は情報収集専門だから、戦闘力のある君達と一緒の方がより安全だと思ってね。

‥もちろん、それだけじゃない」

そこで、ハロルドの真横の闇から幼女が現れた。

硝子の水差しとワイングラスをトレイに乗せた少女は、薄水色の巻き髪を揺らしながら、ハロルドに何かを呟いた。

ハロルドは幼女の突然の登場に眉も動かさず、彼女の言葉に頷く。

‥彼女はソルティーヌ・ロザリス。ハロルドの側近である。

幼いながらにも聡明な彼女は、親がいない事もあってハロルドの側近に取り立てられたのだ。

ハロルドは彼女から水の注がれたワイングラスを受け取り、礼を告げる。

少女は喜色満面で、再び闇に掻き消えた。

それを見送って、ハロルドは雫の付いたグラスを傾けて冷えた液体を含み、嚥下する。
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