時計仕掛けの宝石箱
ほんのり濡れた唇が、ゆっくりと動いた。

「‥僕が君達にして欲しいのは‥。

‥彼等による被害を最小限に止めるために、各支部での指揮及び‥

‥極秘処理を‥する事なんだ」

極秘処理。その言葉に四人は息を飲んだ。

‥遠回しに、始末するという事だ。

もちろん、彼等の最高幹部という肩書きの足元には、<処理>と名を変えた殺戮が幾多も繰り返されてきた。

それは組織の為でも、自分の為でもあったが、欠片も躊躇わず遂行してきた。

けれど、指揮官であるハロルドの口から告げられた事など、四人の記憶の限りではただの一度もなかった。

(‥それ程までに、危険な相手だと言うのね‥)

改めて気を引き締めなくては、とエディリーンは瞳を閉じた。






‥何があろうと‥この組織‥。

‥いえ、この方だけは‥必ず護り通してみせる。






エディリーンはひっそりと、己の心に固く誓った。
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