野球少年とストーカー少女
それからずっと見ていたけど
一向に試合は進まないまま
0-0だった。
「暑いよーっ凛ちゃん!」
言いながらイスから立ち屋根のある方へ歩き出す。
あまり試合に興味がない私にとったら退屈のなんでもない。
凛ちゃんはこの暑いなか
私に呆れながらも頑張っている。
「そんなの私に言わないでよ……。暑いなら向こうの陰にでも行ってジュースでも買って飲めば?」
私は凛ちゃんの方へ振り返り
「うん、そうする。
凛ちゃんは……」
何か飲む?
と、続きたかった言葉は
野球ボールがバットに
当たったときのカキーンと
いう音で続かなかった。
視線を凛ちゃんから
試合の方に向けると
相手の打った球を味方がエラーしてしまったらしく
相手に2点が入ってしまった。