野球少年とストーカー少女
それから試合は再開。
「頑張る」と言っていた
ピッチャーは本当にその通りで、相手を塁には出さなかった。
次、攻撃の回ではみんなが頑張って塁に出て、2死2塁の場面であのピッチャーが出てきた。
「あっ、出てきたっ!」
私が嬉しそうに言っていたのがわかったのか凛ちゃんはニヤリと笑った。
「な、何?凛ちゃん……」
「んーん。日菜は一生懸命な人がタイプなのかーって」
ニンマリとした笑顔で言う凛ちゃんの頭をペシッと叩いた。
「今はそういうんじゃないっ」
「“今は”かあ……いつになるのかなあ」
含み笑いは全然耐えないのでほっとくことにした。
「無視ですかー?」と横で聞いてくる凛ちゃんは無視してバッターボックスに目をやる。
もう試合は始まっていてストライク2個目だった。
次、ストライクになったらアウトで試合終了というところで待っていた軽快音が聞こえた。
「うわっ……」
思わず声が出たけど気にせず飛んだボールを見続ける。
「(入ってっ……!)」
手を組んで祈るように願う。
そして……、その願いが通じたようにボールはどんどん伸びホームランになった。