□■君のこと好きなんだ。■□



ぼくは上に積んであるピアノの椅子を下ろし、


それに腰掛けた。





『やれやれ…』




不意に目に飛び込んできたのは、さっきのA4プリントの束。




1ページ目を読んでみる。




『"ステップ1、基礎基本のマナー……



一、美しい敬語を使う…

二、紳士らしく振舞う…??




ぁ~っ!!いんすとらくしょんって"説明"みたいなもんかぁ!』






と、一人で納得。




紳士らしく、かぁ…。



ぼくは演技が得意で、演劇部でもよく刑事や執事などのやっている。


執事様スマイルは特に女子の評判が良かった。





ポ------ン…



ピアノの鍵盤に指を触れて、ラの音を出す。




『おぉ…やっぱ新しくて上質なのは音が違うねぇ~』



その美しい響きをしばらく耳の奥でリピートしていたら、


やっぱり無性に一曲でも弾きたくなってきた。




< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop