□■君のこと好きなんだ。■□
ぼくは上に積んであるピアノの椅子を下ろし、
それに腰掛けた。
『やれやれ…』
不意に目に飛び込んできたのは、さっきのA4プリントの束。
1ページ目を読んでみる。
『"ステップ1、基礎基本のマナー……
一、美しい敬語を使う…
二、紳士らしく振舞う…??
ぁ~っ!!いんすとらくしょんって"説明"みたいなもんかぁ!』
と、一人で納得。
紳士らしく、かぁ…。
ぼくは演技が得意で、演劇部でもよく刑事や執事などのやっている。
執事様スマイルは特に女子の評判が良かった。
ポ------ン…
ピアノの鍵盤に指を触れて、ラの音を出す。
『おぉ…やっぱ新しくて上質なのは音が違うねぇ~』
その美しい響きをしばらく耳の奥でリピートしていたら、
やっぱり無性に一曲でも弾きたくなってきた。