□■君のこと好きなんだ。■□
呼んでも誰も来ないくらいだから、多分ちょっとなら大丈夫だ。
ぼくは艶やかな真新しい白黒の列に指を置いた。
♪~~♪
この曲は、中学の時自分で作曲したもので、
高校生になった今も持ち曲みたいな感じでみんなに披露したりしている。
小学校の頃から、
"男子がピアノなんて…"とからかわれ続けてきた。
でも、ピアノの音を聞いたり、ピアノを見たりすると、
どうしようもなく"弾きたい"衝動にかられるし、
やめたいなんて思ったことなかった。
曲が終盤に突入した頃、不意に人の気配を感じた。
『誰……??』
キンっと空気を突き抜けるような、はっきりとよく通る声がぼくの耳に届いた。
思わず弾く手を止め、そっちに目をやる。
すると、そこには…
気に食わない、といった顔でこっちを見ている少女。